一般社団法人日本衛生管理協会の取り組み
Japan Quality
2020年、世界を襲った未曾有の感染禍。その際に修了者の有志により提出された「先代の理容師」の写真により「Japan Qualityポスター」は制作されました。制作されたポスターは修了店のみならず全国の理容店で張り出されました。私たちは先人の理容師達の姿から勇気をもらい、改めて公衆衛生業としての意思を再確認いたしました。
システムエビデンス
複合洗浄消毒システムにおける感染症衛生管理使用品
・洗浄消毒剤:フィリオ30
原液500ppm 「危機管理濃度」・HCV/肝炎ウイルス不活性化濃度
家庭用漂白剤(塩素系消毒剤)6%原液と同じ除菌力をもち、塩酸(酢酸)を使用しない特許生成「弱酸性高濃度高純度次亜塩素酸水溶液フィリオ30」を使用し、菌・ウイルスを速やかに不活性化して法定消毒工程を効率的にいたします。
>食品添加物(塩素/酢酸と次亜塩素酸ナトリウム)による2液混合生成の次亜塩素酸水溶液、医療機器として認定されている電解生成機器による次亜塩素酸水ではなく、高純度/高濃度(肝炎対策濃度500ppm)で安定性が高い緩衝生成式で、製品独自の第三者検査機関による肝炎(HCV)不活性化データがあるものを使用しております。
・中性ナノ洗浄剤:ロータスクィーン
5倍希釈 「危機洗浄濃度」30倍希釈 「衛生洗浄濃度」200倍希釈「一般洗浄濃度」
特許取得したナノ洗浄成分が配合された中性洗剤です。一般的なナノ洗剤よりも強力に脂(油)を「再結合」できないレベルまで分解します。法定消毒工程の「洗浄工程」にフィリオ30と共に使用します。
・浸漬洗浄剤:弱アルカリ性医療用洗浄ルネサンス
200倍希釈 「衛生洗浄濃度」400倍希釈「衛生管理濃度」
医療現場では使用済み内視鏡洗浄用のタンパク質を分解して器具から剥がす弱アルカリ性洗剤。非イオン系界面活性剤8%と泡立ちも少ないので扱い易いのも特徴です。消毒工程を経た器具を浸漬させて保管消毒に使用します。
・エタノール
76.9v/v%〜81.4v/v%
「中水準消毒薬」タンパク質の凝固作用と脱水作用により、細胞膜など外膜に対して浸透圧による外圧が加わり、溶菌作用(細菌の細胞が細胞壁の崩壊を伴って破壊され死滅する現象)で殺菌します。第一次洗浄消毒工程を経た剃刀を法定濃度に従い浸漬消毒いたします。御客様毎の鋏や櫛などには噴霧後に、エタノールを含ませたウェットティッシュで拭き取ります。
・塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム:塩素系漂白剤)
0.01%(100ppm)〜0.1%(1000ppm) 10分以上浸漬
「中水準消毒液」消毒剤として、家庭用塩素系漂白剤を使用します。塩素系漂白剤pH10以上の強アルカリ性で主成分は99.7%を占める「次亜塩素酸イオン CIO-」になります。「次亜塩素酸イオン CIO-」は、脂質二重膜を通り抜けられないため、菌やウイルス表面の蛋白質を酸化させて不活性化させます。
・タオル蒸し器(流通蒸気消毒器)
80度以上の蒸気に10分以上消毒
熱水よりも消毒能力が高い加熱水蒸気を直接流通させることによって微生物を消毒します。ただし、「高圧蒸気滅菌器」とは違う為、第一次洗浄消毒・第二次基礎消毒を経た「消毒済みタオル」を器内に入れる必要があります。注:「ホット(タオル)ウォーマー」は消毒作業には使用できません。
・紫外線消毒
85マイクロワット/㎠ 20分以上
殺菌灯は蛍光物質がない蛍光灯です。蛍光物質がないので水銀の発光が可視光線に変換されることなく外部に照射され、DNAを損傷させることで細菌を殺菌します。つまり、光が当たらない個所には効果がないので注意が必要です。ゆえに理美容店では、収納する消毒対象器具は、収納前に一次洗浄消毒・第二次基礎消毒をする必要があります。単体では対象器具における充分な殺菌効力を発揮するのが難しく、複合洗浄消毒システムでは「衛生保管庫」として考えます。
・煮沸消毒/煮沸後2分間消毒
HBV感染ガイドラインでは15分以上煮沸
煮沸して殺菌する消毒器具。消毒剤による影響が大きいシェービングブラシなどを消毒するには便利。煮沸消毒は、水を沸騰させた中に耐熱性のある消毒対象器具などを入れて15分間以上煮沸させる方法です。煮沸後はよく乾燥させ、消毒効果の持続は1日とされています。
複合洗浄消毒システム「剃刀」使用例
・流水洗浄工程
衛生管理における基礎的作業
シェービング終了後の剃刀は、まず水道水における流水にて洗浄いたします。行政指導においては30秒以上の流水洗浄が指定されております。洗浄工程としては基本ですが、とても大事な工程になります。法定消毒工程であるエタノールは、タンパク質を凝固させる働きもあります。洗浄工程をおろそかにすると、エタノール浸漬の際に、洗浄しきれなかったタンパク質が凝固してしまい、消毒効果が半減してしまいます。消毒液内における「二次感染」の恐れもありますので、洗浄は大切な工程です。
・界面活性剤洗浄工程
菌・ウイルスを含む脂(タンパク質)分解除去
行政指導では「家庭用洗剤を用いて洗浄」とありますが、残留性・効率性を考慮して使用しません。ここでは界面活性剤成分も少なく、脂を再結合不可能なナノレベルまで分解する特許「ナノ洗浄成分」が含まれた中性ナノ洗剤「ロータスクィーン」200倍希釈液を使用します(オイルシェービング後の剃刀などは30倍希釈液)。剃刀にティッシュペーパーを巻き、噴霧します。そして、トイレットペーパーで刃の汚れを物理的に排除して流水洗浄〜泡立ちも少ないので、簡単に洗い流せます。
・洗浄消毒工程
菌・ウイルスへのファーストアタック
流水後に、剃刀をティッシュペーパーで挟みます。そして弱酸性次亜塩素酸水溶液フィリオ30原液500ppmを噴霧(5回で1cc)します。その状態で30秒(製品独自の第三者試験機関による肝炎ウイルス不活性化時間)放置し、ティッシュペーパーで水分を拭き取ります。大量噴霧および長時間放置は避けてください。ティッシュペーパーを使用することにより、剃刀表面の菌・ウイルスを効率的に不活性化させて、エタノール浸漬工程の効果を最大限に活かすことができます。
・エタノール浸漬消毒工程
ティッシュペーパーで水分を拭き取った剃刀を、法定濃度(76.9〜81.4v/v%)のエタノールへ法定浸漬時間である10分間浸漬させます。替刃式剃刀の刃は顧客毎に取替るのが望ましいですが、再使用する場合は「超音波洗浄器」内にエタノールを入れて、浸漬と同時に超音波洗浄を1分程度行います。超音波洗浄器を使用した場合、洗浄効果と消毒効果が相乗的に高まります。長時間の浸漬は剃刀本体を痛めるため、10分経過した剃刀を取り出して次工程へ移行させます。
・衛生保管工程
剃刀全体の洗浄・金属面の錆を防ぐ
エタノールに10分間浸漬後、医療用洗浄ルネサンス200倍希釈液へ浸漬させて保管します。オキシドール成分と酵素が含まれ、タンパク質分解に適した弱アルカリ性です。製品独自の第三者試験機関により約98%のタンパク質除去効果が認められ、エタノール浸漬後の剃刀全体のタンパク質を除去します。シェービングカップは、紫外線消毒器内で保管します。
医療用マスク・メジャーリーガーを理美容室で使用するということ
理容店における感染症マスク分類
理容業は接客業ではありますが「背面接客」であります。ですが「対面」するシェービング施術時などは「マスク」装着が「理容師法」にて第二類指定感染症「結核」対策として義務付けされております。
2020年のCOVID-19騒動以降は、理美容店では「通常施術下」でもマスク装着は必需になり「どのようなマスクを装着するか」も「理美容店の感染症対策」と御客様に示すこととして重要になってまいります。
大半のマスク生産国である中国は欧州などと同じ一般マスクと医療用マスクを厳しい規制で管理するマスク先進国となりました。
今後、中国製マスクには全て「医用(医療用)」「非医用(非医療用)」の2種類に明確に分けられ「医用」はウイルスなど病原性微粒物質の体内侵入阻止用となり「非医用」は花粉、風邪対策飲食店などの一般使用に大別されることになりました。
様々な業界〜特に接客業におきましては感染症対策として「医用」「非医用」の何方を選択するかが重要になってまいります。
▶︎感染症軽減マスク(非医療用)
・ウレタン・布マスク ets.
菌/ウイルスへの濾過機能などは低く、外出時「エチケット」として装着する意味合いが大きい。機能的には素材に左右されるが、不意に口に手が触れるのを防ぎ、咳/クシャミによる飛沫拡散を軽減させる目的があります。
あくまでも「家庭用マスク」であり、装着時に「咳・くしゃみ」をする場合は、必ず「肩などで口を塞ぐ」などの対応が必要です。
日常生活使用を重視するため「心地よさ」「呼吸し易さ」「ファッション」などの特徴があります。これらを特化するほど素材的にも「感染症法対策マスク」としての意味合いは比例して低くなります。例えば、夏場などになり薄手にすれば「ファッション的」でしかないと思います。
また、ガーゼマスクを含む「布マスク」は世界保健機関では医療従事者の使用を推奨しておりません。また、公衆衛生業/理容店での感染症対策としては性能不足かと思われます。
▶︎感染症防止マスク(非医療用)
・不繊維の使い捨てマスク
花粉、風邪対策、飲食店などの一般使用マスクとして定義。中国による厳しい国内生産マスクへの規制がはじまり、今後輸入してくる「非医用」マスクは「サージカル(医療用)」表記は禁止され「不繊維マスク」や「花粉マスク」「使い捨てマスク」「フェイスマスク」などの表記に変更されて「医用」と誤解されるような「99%濾過」などの表記も禁止されるとのことです。
それまで、日本に流通していたマスクは、サージカル(医療用)や菌/ウイルスへの濾過機能(率)などが表記されていますが、日本においてはマスクの「性能規格基準」に対する商品表示規制は広告自主基準しかないため、製造国情報を「自社基準による」としたものや『国際規格に準ずる」とした曖昧な性能表記が多い。
新型コロナウイルス騒動下では、海外のマスク製品を日本語表記パッケージ/OEMして製造元から輸入してOEMマスク、過去取扱実績がない法人/個人が海外バイヤーから購入し販売している品質が怪しいマスクなどは、価格が暴落傾向にあります。
また「濾過率99%」と表記されていても、実際は「30%以下」の粗悪品も市場には出回っていますので理美容店での使用には注意が必要です。
▶︎感染症防護マスク(医療用)
・Medical(医療)用/理容店における感染症対策マスク
米国ASTM(米国試験材料協会)/欧州EN14683規格で医療用マスクの素材条件を定めており、それが基準になります。
日本におきましては2021年に公開されたJIS T 9001規格で「医療用マスク」と呼称が統一されました。
これらと一般用マスクとの違いは、人工血液バリア性の評価の有無で、血液や体液の浸透性等が評価さているということです。これは「マスク本体の総合的性能」であり、一般用マスクの化粧箱に記載されている「マスクのフィルターだけの性能表記」とは異なります。
「マスク・メジャーリーガー」はPFEテストで99.8%という極めて高い信頼性を持つ微粒子レスプレーター用の超高性能フィルターを搭載しております。これは、血液や体液がマスクに付着する確率が医療現場の外科のオペについでリスクの高いものと言っても過言ではない歯科医師(オペ)や歯科衛生士(スケーリング時)の現場対応も医療現場同様に対応可能になります。
医療現場では湿性生体物質(血液/体液)などの液体防御性能が重要であり、この性能が感染症防護具としての条件になります。これは、理容店においても重要であります。
米国やEUでは医療用マスクにおいて血液等の体液や薬液等の浸透を遅延する性能(液体浸耐圧80mmHg以上)が最低基準として求められ、メジャーリーガーは最上級数値の120mmHgをクリアしております。
なお、濾過率が高いと呼吸が苦しくなりがちで、そのままではマスクとして実用性に欠けることになるため、米国では濾過率が高いと同時に呼吸が楽(4mmH₂O/c㎡以下)という相反する要素が同時に求められ、マスク・メジャーリーガーは、これらの数値もクリアして防御性能だけでなく長時間装着の快適性にも優れております。
理美容店における「肝炎ウイルス」による血液感染対策としては「理美容師法定消毒」を遵守した「複合洗浄消毒システム」ですが「結核」「COVID-19」などの感染対策としましては「感染症防護マスク」の装着を定義させていただきます。
UVCウイルスキラー装置
UVCウイルスキラー装置自体にも「空間除菌」と記されておりますが、巷であふれている「空間」に対しての「除菌(不活性化)」の定義は曖昧だと考えております。
「次亜塩素酸」「オゾン」などを空間内に噴霧して「空間除菌」とするのも、実効性で考えると非常に曖昧になります。噴霧(発生)装置から空間に拡散した「成分」が部屋の隅々まで拡散したとしても、その地点での「有効性」という問題がでてくるからです。その地点において菌・ウイルスなどの対象物に対し「有効濃度」「作用時間」などが不安定になるからです。また、エビデンスでは「密閉空間」であることが多いですが、実際には店舗などにおいては二酸化炭素濃度が1,000ppm以下に常に抑えられている換気環境下であるためです。
新型コロナウイルスにおいても、部屋での会話における飛沫の拡散シミュレーションを目にしますが「工学的見地」では部屋奥まで拡散する様子が導かれてます。ただし実際は「医学的見地」として拡散した先の飛沫やウイルスがどこまで感染価があるのかが重要になるのと同じです。
紫外線においても、ただ照射すれば光が当たる範囲、空間を通過する全ての菌やウイルスに有効性があるわけではありません。そうであるならば、晴れて太陽光の紫外線が地上に降り注ぐ日中では新型コロナウイルスの感染事例が起きないはずです。
例えるのであれば、「火」は菌やウイルスを不活性化させ滅菌することもできます。そこで部屋の中でロウソクを灯す、もしくはガスコンロで火をつけた状態で放置すれば、火付近を通過する菌やウイルスは不活性化するから「部屋(空間)全体は除菌されている」とするようなものです。
使用する紫外線ランプの「紫外線スペクトル(波長における光の強度分布)性質」「照度」「紫外線出力」などのスペックに加えて「照射(作用)時間」「照射距離」「反射板」などの環境が重要になります。さらに殺菌(不活性化)効果は照射時間の積[殺菌線量(J/m²)]で決まります。
紫外線灯を照射すれば、照射物および通過する菌やウイルスが不活性化するというのは「紫外線には菌やウイルスを不活性化する」という事だけに注目しただけに過ぎません。
そのようなことから、紫外線の実際の有効性については照射条件・環境が重要であるわけです。店舗など「換気環境」の中では、直接照射による空間作用は低効率ということになるかと思います。
UVCウイルスキラー装置を設置するということ
装置下部より装置内へ吸気
吸気用ファンによる強制吸気ではなく、上部排気ファンによる吸気作用で装置内へ空気を取り込みます。UVCウイルスキラー装置(以下「装置」と略)は空気中の「塵・埃」を除去するのが目的ではありませんので、緩やかな吸気をおこないます。
装置内においてUV-C紫外線灯による菌・ウイルス不活性化
装置には殺菌(不活性化)力に特化した254nmの紫外線を放出し、アルミニウム製ボディーの中で照射します。
装置に使用されている殺菌ランプはUV-Cの出力効率が中圧や高圧水銀ランプに比較して大変高く、また、従来これらのランプの欠点であった寿命末期までのUV-Cの出力の減衰を先端技術により、きわめて低く抑えております。また発光管にはフィリップス独自の高品位ガラス素材を使用し、UV-Cの高透過率を誇ります。装置内には照度が10wJ/cm²の30wと15wのランプが機能します。紫外線出力は一般的な紫外線殺菌灯では5w程度であるのに対して、装置内に採用されている30wタイプは11.1wという高出力になります。
装置内は定期メンテナンスされるアルミニウム反射板(殺菌線反射率60~89%)になっており、そこをとりこまれた空気は不活性化採用時間(一般紫外線殺菌灯は10秒〜20秒・UVC殺菌灯は2~6秒)を経て装置内を流動します。装置幅は約15cmですので常に有効照射距を保ち、装置内で効率的に菌・ウイルスを不活性化させることができます。
装置上部より2基のファンにより排気
装置内でコロナウイルスや結核菌(紫外線に弱い)などが不活性化された空気を1m超える高さへ排出いたします。ファンの強さは3段階あり最大で約42m²(26畳程度)の部屋を30分程度で満たす程度の量を排出いたします。そのようなことから、店舗内風上に設置すると効率的に処理済の空気を店舗内へ送り出すことができます。
UVCウイルスキラー装置を設置するということ
ウイルスキラー装置は装置内という「空間」を限定させ、UVCにおける「作用時間」「作用距離」と、高出力のランプで装置内の空気に含まれる菌やウイルスを不活性化させた装置内の空気を設置してある店舗内に放出させることにより店内換気と合わせて環境リスクの安全性を導く装置です。
ウイルスキラー装置があるから店舗内の空気は安全・安心というわけではありません。加えて理美容師法で定められた換気機能や、接客の際の感染症対策をし、呼吸器系に負担がかからない湿度管理などしてこそ「サロンの安全・安心」が生まれます。それを踏まえた上で我々はUVCウイルスキラー装置を設置するということは理美容店が戦後からたたかってきた2類指定感染症「結核」や「新型コロナウイルス・COVID-19」だけを見据えた「安全・安心」ではなく「次世代」を考えた店環境への礎と考えます。